会社員のためのお医者さん! 産業医の役割や実践するリフレッシュ方法を教えて!--後編--

会社員のためのお医者さん! 産業医の役割や実践するリフレッシュ方法を教えて!--後編--

2019年4月25日
編集部

近年、働き方改革の推進に伴い、注目度向上中の「産業医」。そこで、産業医グループこころみを運営する松谷将宏先生へインタビューしてきました。後編では、松谷先生自身が実践するリフレッシュ方法や前向きになる練習方法を紹介します。

■「がんばり過ぎる」は危険信号!?

──悩みを抱え込みやすい人に特徴はありますか?

やっぱり、相談に来てくれる人は、がんばり過ぎちゃう人が多いんですよね。頑張って我慢して働いた期間が長いほど、休養に必要な期間が長くなることもあるし……。そこまで自分を追い詰めなくていいんだよって思うんだけど、「ここで1度失敗したら、会社を休んでしまったら、もう今後の人生全てうまくいかないんじゃないか?」って思い込んでしまっているんですよね。でも、そんなことはないんですよ。ちゃんと頑張れる人なんだから。

だから、診察を受けにきた患者さんには、「これはもう勲章のようなものなんだよ。だって、頑張らなきゃこんな状態にならないよ」って言うんです。

あと、みんなが抱えている悩みは、必ずしも仕事が原因ってわけでもない。例えば、会社で仕事をして、帰宅後は親の介護をしていて、心が疲れてしまうとかね。ワークとライフは切り離して考えることはできないものです。だから、本当に誰にでも起こりうること。全然特別なことではないんですよ。ついつい頑張りすぎちゃう人は、自分の心も大切にしてほしいですね。

ちなみにですが、僕らの産業医グループ名である「こころみ」は、「cocoro+me」で、「自分の心を大事にしてほしい」という想いも込めているんですよ。

007
007

■趣味のハードルは、低い方がいい

──先生は毎日誰かの悩みを聞いていますが、ご自身はどのようにリフレッシュをしていますか? 何かストレスを解消できる趣味などはありますか?

リフレッシュって、本当にすごく大事ですよ。僕も、毎日人の悩みを聞いているからこそ、自分のメンタルを保つことは何よりも大事にしています。

僕の場合は、「移動」が趣味なんです(笑)

──移動……!?

そうそう。新しい場所に行くのが好きだしね。移動するだけが趣味。趣味っていうと、スポーツとか習い事とか、そんなのをイメージする人多いでしょ? それでリフレッシュできればそれでいいんだけど、でも、「リフレッシュのために何かを始めなきゃ!」とか、そんなに意識高く持たなくてもいいんだよ。だって、ただの趣味なんだから。自分がリフレッシュできれば、何でもいいの。だから、僕の場合は「移動です!」って(笑)

──たしかに、「趣味がない」っていう人よくいますけど、趣味のハードルをあげすぎているのかもしれないですね。

そうそう。よく、「リフレッシュしたいけど、趣味がないんです」「趣味ってどうやって探せばいいの?」って話も聞きますが、その考え方はあまりよくないんじゃないかな? 気軽にやって気晴らしになることが大事だから、別にかっこいい趣味を持つ必要はないんだよね(笑)自分の気分転換になるなら、何でもいいんだよ~!だから、僕の場合は、日常生活の一部を趣味にしてるんです。

■よかったことを探すクセをつけよう!

──他に、先生が日ごろから気を付けていることや工夫していることはありますか?

あとはね、「よかったこと日記」を書いてます。これは、患者さんにオススメすることもあるんだけどね。自分にとっての「頑張った」とか「よかった」と思うことのハードルを上げすぎている人も多いと思うんですよ。

例えば、患者さんに「今日は何かいいことありました?」って聞いても、「何もありませんでした」って、会話が終わりそうになる。そんな時に「本当に? じゃあ、僕と一緒に今日を振り返ってみましょう」って一緒に振り替えると、「あ! これいいことじゃん!」とか「もう会社に出勤してるだけでも十分頑張ってるよね(笑)」とか、結構出てくるんですよ。

そして、今度はそれをできるだけ毎日ノートに書きながらその日を振り返ってもらう。どーーーんなに小さなことでもいいから、よかったことを探す。これを続けると、日常の中で「よかったこと」を探すクセがついて、前向きになれますよ。

──それは、誰でも気軽に実践できますね! ぜひ、読者の皆さんにも試してみていただきたいです。本日はありがとうございました。

執筆者プロフィール
profile

大阪府立高校卒業し、和歌山県立医科大学を卒業。大阪市立大学医学部付属病院にて初期臨床研修後、精神科医として大阪の精神科救急病院に勤務し、精神科専門医・精神保健指定医を取得。その後、都内複数のメンタルクリニック・スリープクリニックに勤務しながら、大阪・東京で産業医活動を幅広くう。平成28年、(株)産業医グループこころみを設立。