"受け身にならない"働き方改革を! セゾン情報システムズが働き方改革に込めた想いとは?--前編--

"受け身にならない"働き方改革を! セゾン情報システムズが働き方改革に込めた想いとは?--前編--

2019年4月25日
編集部

近年、注目を集めている「働き方改革」。「在宅勤務」や「フレックスタイム制」など、聞き覚えのある言葉は多くても、実際に体験した人はまだまだ少ないのではないでしょうか? そこで、 働き方改革を成功させた企業として有名なセゾン情報システムズで、「働き方」について話を聞いてきました。

今回訪れたのは、セゾン情報システムズ。主に金融や流通サービスを支えるシステムを提供している同社だが、働き方改革を成功させた企業として既にご存知の方も多いのではないだろうか?今回は、そんな同社が働き方改革を進めた背景と大規模な制度変更に込めた想い、実際にそれらを活用している社員の働き方について聞いてきた。

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左から人事部の森本さんと鈴木さん。

お話をうかがったのは、人事部の森本さんと鈴木さん。森本さんは、同社の働き方改革プロジェクトの中心となったメンバー1人で、鈴木さんは現在3人の子どもを持つお母さん社員だ。

きっかけは、会社存続を揺るがす“大きな失敗”

──今日はよろしくお願いします。まずは、現在導入している働き方に関する制度や設備について教えてください。

森本さん:働き方に関しては、まずテレワーク制度として、在宅での勤務を週2回までOKにしています。あとは、フレックスタイム(コアタイム11時-15時)やフリーアドレスを導入しているほか、育児介護の短時間勤務も、法律通りに全て整備しています。

──働き方に関する制度を導入したきっかけを教えてください。

森本さん:働き方改革に関して、これまで色々推進してきたんですけど、そのきっかけとなったのは「会社の風土を変えよう」と決意する出来事があったからなんです。

もともとシステム会社として取り組んできたプロジェクトで大きな失敗をして、全社で多額の損失を出してしまって……。普通だったら会社がつぶれちゃう位の額だと思うんですが、幸いなことに会社も業務自体も存続となりました。しかし、今後同じ失敗を繰り返さないよう働き方の見直しと、気持ちの切り替えが必要だと考え、会社の風土を変えてリスタートすることにしたんです。

その一環として、まずは 2017年11月20日付けでオフィスの移転を決めました。それに合わせて、無線 LAN の導入とテレワーク・在宅勤務制度、そしてフレックスタイム制度を導入できるよう準備を始めました。

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全社で取り組んだ働き方改革プロジェクト。インターネットの接続方法から見直した

まずは、インターネットの接続方法の見直し。弊社は金融系のお客様が多いこともあり、有線接続でセキュリティもガチガチだったんです。部屋を移動したらIPアドレスから変更して再接続しなきゃいけないような、必要以上と言えるほどにセキュリティをガッチリ固めていたんですけれど、今はもう無線でも十分にセキュリティが担保できますよね。そこで、ちょっと時代遅れだなというものを全て一新して、無線でのインターネット接続を導入しました。

また、オフィスの移転に合わせて、様々な場所に分散していたオフィスを現在のオフィスに集約しました。その結果、それまでと比べて、全体で約 25%のスペースを削減することができました。スペースを削減すると、今度は以前より狭くなったスペースをどのように使っていくかを考えなければいけない。そこで、社長のメッセージとして「もう出社してなくてもいいよ」と。「生産性と成果がきちんと担保できれば、あとは自主性に任せるので、出社しないで成果が出せるように、制度と設備と環境を整えよう」と全社的な指示が出て、それに伴ってオフィス環境・制度面を整えました。人事の試算としては8割出社、2割の社員が在宅やテレワークで働けば、着席率がこのくらいになってちょうどいいですねというシミュレーションも出したのですが、社長は「(着席率は)もっと少なくていいよ、6~7割来れば十分だよ」と。

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フリーアドレス制で、その日の気分で働く場所を選べるように。

──最初ガチガチの仕組みで働いていたところから、一気に改革を進める中で、いろいろと苦労もあったのではないでしょうか?

森本:抵抗勢力はいっぱいありましたよね。マインド面もそうですし、あとは制度だとか、いろんな制約を人事やセキュリティ関連の社員でガッチガチに決めていたんです。その状況で働き方を改革するとなると、例えば、数十冊あるマニュアルも全部修正しなきゃいけなくなりますからね。でも、そんなものは崩せばいい、直せばいいじゃないかと。大変な作業であることは間違いないけれど、直すことで、全社員にメリットが出るんだから。

もちろん、それまでの規定を作ってきた部門の人たち、特に品質管理を担当している部門の人たちはとても苦労したと思います。でも、そのおかげで全社員がフリーアドレスで仕事ができるようになっただけでなく、テレワーク制度を利用して、社外でも仕事ができるようになりました。

──現在、全体の何割位の方が、テレワークやフレックスタイム、時短勤務制度を活用していますか?

森本:「使ったことがある人」という数字だと、全体の3~4割です。時短勤務は、常時30人くらいが入れ代わり立ち代わり利用していますね。もちろん、私たちも使ったことがありますよ。テレワークを"今日"使っている人の割合っていうと、まだ 5%くらい。社長が言う 「着席率7割」までは、正直なところ、まだまだ障壁がありますね。

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