【連載】今夜は、ほろ苦いカフェオレと。 ―第4回―「自称ショートスリーパー」だったかつての私

【連載】今夜は、ほろ苦いカフェオレと。 ―第4回―「自称ショートスリーパー」だったかつての私

2020年4月30日
ナカセコ エミコ

第4回 「自称ショートスリーパー」だったかつての私 毎日頑張って働いているけれど、これで本当に良いのだろうかと迷ったり苦しくなったり。どんな人にも、そんな夜があるものです。 ほろ苦いカフェオレを淹れたら、心を少し緩めてみて。あなたらしい明日を迎えるために、今夜はちょっと立ち止まってみませんか? 書評家・絵本作家のナカセコエミコがお送りする、眠れない夜に読みたいエッセイです。


当たり前の生活が激変したといってもいい昨今です。不安を抱えながら出勤を続けていたり、慣れないリモートワークに取り組んでいる方も多くいることでしょう。

いま、皆さんは、睡眠時間を確保されていますか? 今回は、私が感じた睡眠の大切さについて、少しお話ししてみたいと思います。

■燃費がいい自称ショートスリーパー

20代半ばから30代までの私は、基本的に睡眠時間は2~3時間。体がしんどいことはデフォルトでしたが、それ以上に仕事が面白すぎて眠る時間が惜しい。アドレナリンが常に出ているような日々を過ごしていました。

27歳で結婚してからは、家事も仕事も完璧にしなくてはならないと思い込み、時間は常に足りない状態に。同僚から「いつ寝ているんですか?」と聞かれることもしばしばで、「私、あまり寝なくてもいい体質みたいです。」と平然と答えていました。

当時の私は、"自称" ショートスリーパー。馬力はないけれど、低空飛行ながら落ちることはない。女性としては燃費がいい、便利な体質だと本気で思っていたのです。

■蓄積疲労がこびりついて離れない

そのかわり、年に1回くらい急にバッタリと倒れて体調を崩すことがありました。高熱が出て3日くらい飲まず食わずで眠り続けて、急にけろりと良くなる。いま思えば、まだ若かったから回復できたのかもしれません。これで一年間のリセットは完了したと話す私に、周囲は心配しつつも、「まるでアンドロイドだね。」と言いました。

もともとは、子どものころから決して丈夫ではなかった私です。年齢を重ねるごとに、体内にこびりついて離れない、蓄積疲労がじわじわと溜まり続けていました。

そして40歳になった春、突然お腹が痛くなりました。痛みにも強いと謎に自負していた私は、忙しさもあって数ヶ月我慢。そして、ある朝、経験したことがない突然の激痛に見舞われたのです。大学病院に駆け込むと、女性には珍しい尿管結石だと診断されました。

ドクターストップがかかり、それから数日の間、会社を休みました。石が落ちるようにたくさん水を飲みつつ、睡眠を取りました。すると、石だけではなく、背中に覆いかぶさっていた痛みや疲労感も、だんだんと落ちていきました。

■健康な体があってこそのすべて

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未来の自分を労わるために…。

その後、別の経緯から大好きだった会社を辞めて独立しましたが、この出来事は睡眠の大切さを心から実感する良いきっかけになりました。

短い睡眠時間で、体に良いわけがなかったのです。「眠ることで、疲れって取れるんだ」「眠ると正しい判断ができる思考回路になるんだ」と、しみじみ実感しました。

現在は、できる限り良い睡眠がとれるように、いろいろな工夫をしています。寝具はいつも清潔に、肌触りの良い麻素材を。専門家に測ってもらった首の形に沿った高さの枕を使用して、眠るときにはアロマオイルを焚き、アイマスクをして1日6時間の睡眠時間を確保します。

もちろん、そうはいかないときもありますが、健康な体があってこそのすべて。だから眠ろう。眠れなかったら、目をつぶって横になるだけでもいい。

未来の自分のために肝に銘じて、自分自身に言い聞かせています。

執筆者プロフィール
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FILAGE(フィラージュ)代表。 書評家/絵本作家/ブックコーディネーター。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。「働く女性のための選書サービス」 “季節の本屋さん”を運営中。twitterInstagramも更新中。