【連載】そんな夜に読みたい絵本 -第1回-「新しく始めることを迷っている夜に。」

【連載】そんな夜に読みたい絵本 -第1回-「新しく始めることを迷っている夜に。」

2019年5月17日
ナカセコ エミコ

今日も1日働いて、小説1冊、映画1本を見るほどの時間や元気はない。でも、このまま1日が終わるのもなんだかさみしい。そんなあなたへ、短い時間で読むことができて、1日の終わりを少し特別なものにしてくれる絵本をご紹介します。今夜の絵本は、『おどりたいの』です。


第1回 「新しく始めることを迷っている夜に。」

そんな夜に読みたい絵本。第一回目のテーマは、「新しく始めることを迷っている夜に。」です。

やってみたいことはあるけれど、少し躊躇してしまうことってありますよね。そんなあなたの背中をそっと押してくれるような、優しい絵本をご紹介します。

s01
『おどりたいの』著者:豊福まきこ

■やりたいと思ったらすぐに実行

豊福まきこ著『おどりたいの』 は、真っ白いこうさぎが主人公です。 深い森のはずれにある建物と流れている美しい音楽。気になって仕方がないこうさぎは、ある晩、そっと近づいてみることにしました。

こうさぎが建物の窓から中をのぞいてみると、人間の女の子たちが白いチュチュを身につけて、バレエを踊っていたのです。

s02
「やりたい」と思った気持ちを大切に。

魅了されたこうさぎは、トントンと扉を叩きます。 「あなたもバレエをならいにきたの?」という問いかけに、勇気を出してこくりとうなずいたこうさぎ。なんと、人間の先生は、快く迎え入れてくれました。

やりたいと思った自分の気持ちを大切に、思いきって勇気を出したこうさぎ。そのまっすぐな思いに胸を打たれます。

s03
無いものは自分で手作りすればいい。

■ちょっと工夫して輝く場所を手作りする

嬉しくてたまらないこうさぎは、レッスンの輪に混じって踊ります。たくさん失敗もしますが、楽しい気持ちは変わりません。そして、うさぎだけに、特にジャンプは人間の少女たちに負けていませんでした。

その様子を窓から覗いて見ていた他のうさぎたちも、いつしか一緒にレッスンを受けるように。

しかし、人間が出る発表会にうさぎは出ることができません。こうさぎたちはがっかりしましたが、自分たちで発表会を開催することにしました。

森のみんなに招待状を出し、薔薇の花びらでチュチュを手作り。ついに、森で一番大きな切り株を舞台に、月のライトを浴びながら発表会を開催することができたのです。

s04
新しいことを始める勇気を持って。

■少しの勇気で一歩踏み出す

この絵本に出てくるこうさぎは、2つのトライをしています。 踊ってみたいという思いを大切に、すぐに扉を叩いたこと。そして、自分たちで素敵な発表会を開催したこと。

新しいことを始めるときには、勇気が必要です。しかし、思いきって始めてみたら、意外とうまくいくこともあるのかもしれません。困難に巡りあっても、少し視点を変えることで、違う輝き方ができることも。

絵本の中の小さなこうさぎが、新しいことを始めるコツを教えてくれるようです。


s06
『おどりたいの』

タイトル: おどりたいの
著者: 豊福まきこ
発行: BL出版
定価: 1,300円(税抜)


※書影以外の画像はイメージです。

【連載】そんな夜に読みたい絵本 一覧へ

執筆者プロフィール
profile

FILAGE(フィラージュ)代表。 書評家/絵本作家/ブックコーディネーター。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。「働く女性のための選書サービス」 “季節の本屋さん”を運営中。twitterInstagramも更新中。

関連する読みもの