【連載】そんな夜に読みたい絵本 -第3回- 「幸せが何なのか、知りたくなってしまった夜に」

【連載】そんな夜に読みたい絵本 -第3回- 「幸せが何なのか、知りたくなってしまった夜に」

2019年6月18日
ナカセコ エミコ

今日も1日働いて、小説1冊、映画1本を見るほどの時間や元気はない。でも、このまま1日が終わるのもなんだかさみしい。そんなあなたへ、短い時間で読むことができて、1日の終わりを少し特別なものにしてくれる絵本をご紹介します。今夜の絵本は、「幸せが何なのか、知りたくなってしまった夜に」です。


第3回 「幸せが何なのか、知りたくなってしまった夜に」

「そんな夜に読みたい絵本」第三回目のテーマは、「幸せが何なのか、知りたくなってしまった夜に」です。

本当の幸せって何なんだろうなんて、ぼんやりと考えているうちに、少しだけ不安になってしまった夜。たくさんの古い言葉の中から、幸せの鍵が見つかりそうな絵本をご紹介します。

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『幸せの鍵が見つかる世界の美しいことば』著者:前田まゆみ訳・絵

■今という時間をもっと大切に

前田まゆみ訳・絵『幸せの鍵が見つかる世界の美しいことば』 には、世界中の詩や名言、言い伝えなどから50個の美しい言葉が収められています。英語と対訳にあわせて、優しい絵が添えられている一冊です。

たとえば、人生のライフイベントなどは、人によって訪れるタイミングはさまざまです。 いつもは自分らしく生きているつもりでも、ふと、誰かと比べてしまい、これでいいのだろうかと迷いを感じてしまうことは、誰にでもあるのではないでしょうか。

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「昨日、それは灰。明日、それは薪。今日だけは、火が明るく燃えています。」イヌイット

「昨日、それは灰。明日、それは薪。今日だけは、火が明るく燃えています。」
イヌイット(23ページより引用)

もしあのとき、別の選択をしていたら違う人生が待っていたのではないかと、振り返ることはありませんか。

でも、昨日という日は、もう燃え尽きて灰になっている。後戻りしてやり直すことはできません。だからこそ、赤々と燃えている今という時間をもっと大切に。今あるものに幸せを感じていくことで、未来がさらに明るくなっていくのかもしれません。

■どんな人生にも闇と光がある

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「人生の中で、だれもがみな、ひそやかな孤独の場所を持っている。終わりのない後悔や、秘められた幸せをしまっておくためのもの。」サラ・オーン・ジュエット

「人生の中で、だれもがみな、ひそやかな孤独の場所を持っている。終わりのない後悔や、秘められた幸せをしまっておくためのもの。」
サラ・オーン・ジュエット(71ページより引用)

ベストの選択をしてきたつもりでも、後悔が尽きなかったり、周りの理解を得られず孤独を感じてしまったり。

もしかすると、人というものは、どんな人生を選んだとしても、自分だけの闇と光を持っているものなのかもしれません。

人に理解されない孤独も、自分だけが知っている幸せも、かけがえのないあなただけのもの。だからこそ、幸せの部分をしっかり味わっていきたいですね。

■自分の信念を信じて前に進む

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「細い枝に一瞬とまって その枝が折れかけても、自分の翼を信じ 歌いつづける 小鳥のようでいましょう。」ヴィクトル・ユーゴー

「細い枝に一瞬とまって その枝が折れかけても、自分の翼を信じ 歌いつづける 小鳥のようでいましょう。」
ヴィクトル・ユーゴー(89ページより引用)

自ら選んだ道が、うまくいかないときもあるのかもしれません。止まった枝が折れかけても、自分の翼を信じて歌いつづける小鳥のように凛々しくいられたら素敵です。 目に見えない信念を信じて前に進んでいくことで、きっと道は拓けてくることでしょう。

幸せとは何なのか、感じ方は人によって違うものです。古い言葉の断片から、今を生きる幸せの鍵を見つけて、自分らしい生き方をしていきたいものですね。

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『幸せの鍵が見つかる世界の美しいことば』

タイトル: 幸せの鍵が見つかる世界の美しいことば
著者: 前田まゆみ訳・絵
発行: 創元社
定価: 1,600円(税抜)

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執筆者プロフィール
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FILAGE(フィラージュ)代表。 書評家/絵本作家/ブックコーディネーター。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。「働く女性のための選書サービス」 “季節の本屋さん”を運営中。twitterInstagramも更新中。

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