子育ても仕事も諦めたくない人たちに 今、「託児所付きサテライトオフィス」が熱い!-後編-

子育ても仕事も諦めたくない人たちに 今、「託児所付きサテライトオフィス」が熱い!-後編-

2019年12月4日
富永恭子(ロビンソン)

前編では、「テレワーク」という言葉の説明から最近よく聞く「サテライトオフィス」の活用方法をご紹介しました。後編では、サテライトオフィスの中でも"託児所付き"サテライトオフィスについてご紹介します。


子育てを大切にしながらも、妥協しないで自分らしく仕事をしたい人向けの「託児所付きサテライトオフィス」

多様化するテレワークへのニーズとともに活用が進んでいるのが「施設利用型テレワーク」です。「施設利用型テレワーク」では、一社専用で社内LANがつながるスポットオフィスや、専用サテライト、数社の共同サテライトに、レンタルオフィスなどの施設が利用されていますが、なかでも「託児所付きサテライトオフィス」は、働く子育て世代からの利用関心度が高く、注目を集めています。

その背景には、今の日本における深刻な待機児童の問題があります。また、たとえ保育園に入れたとしても、「送り迎え」や「子どもの発熱による急な呼び出し」など、働く子育て世代に課せられた負担は数多くあり、これらが子育て世代だけでなく、企業にとっても大きな損失を生み出しているのはご存知のとおりです。

その意味で「託児所付きサテライトオフィス」は、これまで子どもを保育園に預けることができずに働くことを諦めざるを得なかった子育て世代の方々から、待機児童対策の受け皿として大いに期待されています。

また、ワークスペースのすぐ隣に子どもがいる「託児所付きサテライトオフィス」なら、「保育園の送り迎え」や「子どもの発熱による急な呼び出し」などのタイムリミットを気にする必要がなくなることも大きなメリットの1つです。

さらに、家の近くの拠点に通勤することも可能なため、移動時間を削減できるだけでなく、満員電車も回避できるなど、通勤によるストレスの軽減も期待できそうです。

これらのメリットから見ても「託児所付きサテライトオフィス」は、子育てを大切にしながらも、妥協しないで自分らしく仕事をしたい人にとって、自分のライフスタイルに合った働き方と活躍できる環境が両立する魅力的な『サードプレイス』だといえるでしょう。

一方、これを採用する企業にとっても「託児所付きサテライトオフィス」は、生産性の向上と自由な働き方が実現できるだけでなく、優秀な人材をつなぎとめておくための差別化にもつながります。

子どもの受け皿を確保して様々な働き方を可能にしている企業は、女性だけでなく子育て世代の男性にとっても魅力的だといえるのではないでしょうか。

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「託児所付きサテライトオフィス」の導入メリットとは?

各社多彩な「託児所付きサテライトオフィス」サービス比較

「託児所付きサテライトオフィス」に類するものとしては、「子育て支援型サテライトオフィス」「保育所付きサテライトオフィス」「保育園付きシェアオフィス」「企業主導型保育事業施設」などがあります。

そのなかから、いくつかの企業が提供する「託児所付きサテライトオフィス」系サービスをご紹介しましょう。

■株式会社ザイマックス 

ZXY(ジザイ)

株式会社ザイマックスが運営するシェア型の法人契約制「子育て支援型のサテライトオフィス」。契約している企業の従業員であれば、首都圏郊外にある約50拠点(2020年3月を目途に、郊外を中心に100拠点程度の展開を予定)のどの拠点でも15分単位で利用でき、専用の予約サイトで空きがあれば当日予約も可能です。首都圏郊外にある約50拠点のうちの14拠点には、専門の見守りスタッフが常駐する「キッズスペース」を併設しています。

【特長】
○空きがあれば、専用の予約サイトもしくは現地で当日予約ができる
○15分単位で予約ができる
○郊外にも数多くの拠点があり、家の近くの拠点に通勤することも可能
○ワークスペースは導入費用、固定費用なしの完全従量課金制
○月額+従量課金制のキッズスペースオプションサービスでは、専門の見守りスタッフが常駐
○ワークスペースのすぐ隣に子どもがいるので、頻繁に様子を見に行けたり、何かあってもすぐに駆け付けたりすることもでき、とても安心

■三菱地所プロパティマネジメント株式会社

コトフィス〜こどもとはたらくオフィス〜 新国際ビル

丸の内エリアのテナント企業や就業者を中心 に、三菱地所プロパティマネジメント株式会社が2018年4月にスタートした「保育所付きワーキングスペース」。企業の事業所内保育施設やキッズスペース付きワーキングスペースの運営で実績のある株式会社ママスクエアと協業し、認可保育園並みの安心安全な設備と多くの保育士が在籍する保育サービスを提供しています。

【特長】
○内閣府による企業主導型保育事業に則った運営となり、認可保育園並みの基準を満たしている
○給食が調理師によって提供され、子どもと一緒にご飯を食べるラウンジもある
○保育士との連絡がアプリによっても可能
○ワーキングスペースにはフリーアドレスのオープンデスクに加え、鍵付き個室デスクを設置
○子ども連れの通勤の負担を軽くするために、おむつや衣類・寝具類の洗濯サービスも施設側で用意

■株式会社ママスクエア

ママスクエア

ワーキングルーム、キッズスペースが1つになった「キッズスペース付きオフィス」。2015年に1号店を出し、現在29店舗ある。ママスクエアのモデルの1つに、事業所内保育所があり、周辺企業の社員向けのワークスペースや育休復帰社員支援として活用されています。キッズスペースにはキッズサポートスタッフが常駐しています。

【特長】
○ワーキングスペースで働く間、子どもたちを専任のスタッフが見守り
○施設の広さは様々。広い施設では40坪、オフィスの席数30ブース
○託児所でもない保育園でもない、新たな業態
○扶養範囲内で働きたいママたちが多く、出勤は週3回程度で、シフト制で入れ替り働くスタイル

■オクシイ株式会社

Maffice(マフィス)

内閣府所管の「企業主導型保育事業施設」を併設したシェアオフィスであり、現在は渋谷区北参道及び横浜・元町、そして名古屋に施設があります。保育園に入りにくいフリーランスの方や、起業した方、リモートワークが許されている企業に勤務されている方が多く利用しています。園内で調理する給食は「子どもの味覚を育てる給食」を提供。プロフェッショナルに働きたいママ&パパを応援している施設のため、隣接する保育施設に預けている間は仕事に打ち込むことが可能です。

【特長】
○内閣府による企業主導型保育事業に則った運営で、認可保育所並みの基準を満たしている
○園内調理により「子どもの味覚を育てる給食」を提供
○仕事場と保育園が隣接していて、送り迎えに時間のロスがなく、外出も可能
○授乳室完備で、早く仕事に復帰する必要がある方でも母乳育児を継続できる
○同時でなければ夫婦でオフィスをシェアでき、北参道には会議室も完備

「託児所付きサテライトオフィス」+「リモートデスクトップ」で環境整備

企業と従業員それぞれにとってメリットが大きい「託児所付きサテライトオフィス」ですが、効率的かつ安全、かつ快適なテレワークを行うために最も重要なのは、オフィスのPCとサテライトオフィスの外部デバイスをつなぎ、外出先のPCからでも企業のプライベートネットワークに接続できるリモートアクセスの環境整備です。

また拠点間通信の安全性を確保するため、当然のことながらセキュリティの在り方も重視しなければなりません。

そんな託児所付きサテライトオフィスでのテレワークと相性がいいのが、安全に会社のPCにリモート接続して、リアルタイムに画面操作を行える「リモートデスクトップ」です。

「リモートデスクトップ」は、「PC遠隔操作ソフト」や「リモートコントロールソフト」とも呼ばれ、法人・商用向けには大きくVPNとクラウドタイプがあります。

VPN (Virtual Private Network : バーチャル プライベート ネットワーク)は、「仮想専用線」と訳されるその名のとおり、インターネット上に仮想的なプライベートネットワーク(専用線)を設けて、企業ネットワークシステムを使用したセキュリティ上の安全な経路を使ってデータをやり取りする技術です。

インストールした専用ソフトの設定には一定の専門知識が必要ですが、セキュリティの高い環境下でデータ通信を行うことができます。その反面、VPNはデータの暗号化によって通信速度が遅くなる場合もあります。

次に、クラウドタイプのリモートデスクトップソフトウェアは、インストールや設定も簡単で、初期費用が安価なことが多いため、スピーディに職場の仕事環境を再現することができます。セキュリティについても2段階以上の認証を採用しているものであれば安心です。

場所や時間にとらわれない「託児所付きサテライトオフィス」とテレワークを快適にする「リモートデスクトップ」で、仕事と育児を両立しながら、柔軟で自由な働き方にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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