「働き方に"選択の自由"を」産総研・女性研究者が考える"働きやすさ"とは?-後編-

「働き方に"選択の自由"を」産総研・女性研究者が考える"働きやすさ"とは?-後編-

2019年9月11日
編集部

前編では、藤村さんの研究や、女性と研究職について話を伺いました。後半では、藤村さんが経験した働き方の制度や仕事への向き合い方、藤村さんが考える働きやすさについてご紹介します。


様々な働き方のメリット・デメリットは?

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敷地内には緑や池があり、テラスで打ち合わせをしているグループも!

──これまでに、育児支援制度として在宅勤務制をご経験されていると伺いました。

はい。産総研の制度として、月に5日まで在宅勤務も認められているので、デスクワークに集中したい日や、仕事の合間に家事をしたい日などに活用していました。現在も、年間で十数名が在宅勤務制度を利用していますよ。

──また、研究現場では裁量労働制、事務部門ではフレックス制を経験されて、それぞれにメリットやデメリットだと思う点はありますか?

そうですね。裁量労働制はフレキシブルに時間を配分できるので、特に子育て中の人にはありがたいですよね。例えば、急に保育所からの呼び出しがあったとしても、「今日は子どものために早く帰って、その分は別の日に取り戻そう」など柔軟に対応できることがメリットかなと思います。

デメリットは、子どもができる前などは今より比較的時間があったので、ついダラダラと遅い時間まで働いてしまうこともあったことです。裁量労働制には、時間の区切りというか、定時がないので、区切りがあった方がわかりやすいなと思ったこともあります。

在宅勤務のメリットは、一般的には通勤時間が短縮できるという点だと思うのですが、それ以外だと、職場にいると、ふいに電話がかかってきたりして目の前の仕事に集中することが難しいこともありますよね。でも、家で作業する日はそれがないので、仕事に集中できます。

あとは、すき間時間を活用できること。夕飯の下ごしらえやトイレ掃除など、ちょっとした家事を効率よくこなせるところがいいなと思いました。

デメリットとしては、メリットと相反するんですが、家で作業していると、色々なものが目に入るので、家の用事を思い出して気が散ってしまう時がありますね。

──現在は育児との両立でお忙しいと思うのですが、自分の時間の過ごし方やリフレッシュのために何かしていることがあれば教えてください。

夜、子どもが寝た後、海外ドラマを観たりして、頭をリフレッシュさせたりしています。あとは、週に1回くらい、ヨガでリフレッシュしています。

働きやすさに大切なのは、選択の自由

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それぞれの働き方に感じたメリットやデメリットは?

──藤村さんが考える「働きやすい環境」とは、どのような環境だと思いますか?

性別や国籍などに制限されず、"選択できる自由"があることではないかと思います。一見、制度上は全ての人に対して平等に機会があるように思えても、実は本人と周囲の「意識のすれ違い」によって機会を失ってしまうことがあるように思います。

例えば、管理職登用に関して、本当は管理職にキャリアアップしたいと思っていても、家庭との両立を考えると職場に迷惑をかけるかもしれないし、「いや私はいいです」と遠慮してしまう女性は少なくないと思います。一方、上司は、「女性は家庭が優先だから、ばりばり働いて昇進したいという願望がない」と判断して、女性に、管理職登用の選択肢を提示することすらなくなってしまうことがあるかもしれません。そうなると、女性は、ますます本心を伝えることが難しくなり、周囲や上司からは「この人はやる気がないんだ」という風に見えてしまい、負のスパイラルに陥ってしまいます。本人も周囲も気づかないうちに選択の自由が奪われていることがあると思います。そんな、当事者と周囲の人の意識のすれ違いをできるだけなくすことが「働きやすい環境づくり」の第一歩ではないかと思います。

女性を優遇すべきだという話ではなく、男女関係なく、皆が平等に何かを選択できる自由があることが大切ですよね。そして、その環境はきっと、女性だけでなく男性にとっても働きやすい職場じゃないかなと思います。

──最後に、働き方や研究に関して、今後の目標などがあれば教えてください。

私がダイバーシティ推進室に所属する期間は1年間と限られていますが、その期間の間に何か1つでも、ダイバーシティ推進に貢献できたという形が残せたらいいなと思っています。

また、私は感情やコミュニケーションの研究をしているので、働く上でのモチベーションの上げ方や、ジェンダーの話は、研究にも関わってきます。ダイバーシティ推進室での経験を強みにして、自分にしかでいない研究をしていきたいです。

──本日はありがとうございました。


藤村さんが所属しているダイバーシティ推進室では、女性研究者との懇談会や見学ツアー、ワークライフバランスに関するランチ会などのイベントを随時開催しているそうです。ご興味のある方はぜひ、ダイバーシティ推進室のイベント情報をチェックしてみてはいかがでしょうか?

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