女性社員が8割の工務店! 高千穂の女性リーダーが考える「働きやすさ」とは?--前編--

女性社員が8割の工務店! 高千穂の女性リーダーが考える「働きやすさ」とは?--前編--

2019年7月5日
編集部

人生で一度、あるかどうかの大きな買い物"住宅"。夢のマイホームなんて言葉もあるくらい、憧れる方も多いのではないでしょうか? 家族が快適に、安心して暮らせる場所を作るということは、人生においても重要なライフイベントですよね。そんな住宅建設の分野で、女性が大活躍している企業があると聞いて、早速取材に行ってきました!


今回伺ったのは、新築はもちろん、戸建てやマンションのリフォームまで施工する注文建設業者の高千穂。横浜市にある本社を訪ねてみると、同社のオリジナル製品が展示されたショールームが出迎えてくれた。製材の特性を確認したり、他製材との比較実験を行うこともできるそうです。

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入口を入ってすぐ、明るいショールームが用意されている。

昭和45年創業の同社は、創業当初から女性の採用に積極的で、現在も全社員のうち、およそ8割が女性社員だそう。そんな同社の取締役である近藤千恵子さんにお話を伺いました。

38年前から女性の採用に特化した理由とは?

──今日はよろしくお願いします。まずは、簡単に近藤さんについて教えてください。

はい。私は今年で入社18年目なのですが、営業企画や管理部、リフォームの営業と環境建材の営業を経験し、現在はR&Dという研究開発部の責任者をしています。私生活では、小学6年生と小学3年生の姉妹の育児に奮闘中です。

──高千穂では、全社員のうち約8割が女性社員とのことですが、女性を多く採用することになったきっかけや、理由があれば教えてください。

はい。特にこの業界なので、女性社員の多さや定着率について珍しいと言われることも多いのですが、実は、創業当初からの社長の方針なんです。

現在は家事を得意とする男性もたくさんいるけれど、38年前は家庭のことは女性が担当するものという意識を持ったご家庭が非常に多かった。そうなると、家を建てるにも、リフォームするにも、やはり長時間ご自宅にいる奥様のリクエストが中心になってくるんですよね。

そのような時代背景もあり、家事のしやすさなどを含めた家の悩みを共有できる女性の方が、奥様に対して適切な接客やサービスを提供できるのではないかという想いから、女性の採用に積極的だったようです。

また、平日の日中など、奥様が1人でご自宅にいるところに男性スタッフが打ち合わせに伺うと、ちょっと警戒させてしまう可能性もありますからね。

"住宅"というキーワードのもとでは、女性がより活躍できると考え、それが現実になって、今の会社がある。実際、細かい注文にも共感してあげられる女性が担当した方が、より良い成果をあげられるということもありますし、会社が女性を求めていたんでしょうね。

保育園から職場までの交通費も、延長保育料も会社負担!?

──女性が多い職場ならではの働き方に関する制度や取り組みはありますか?

まず、子育て世代の社員にスポットを当てると、保育に関わる料金補助をしています。具体的には、私たちの本社がある横浜市は、保育園の待機児童ゼロではあるのですが、必ずしも自宅から近い保育園に入園できるわけでは無いんですよね。

実際、自宅からすごく遠い保育園に預けている社員もいるんです。そうすると、通常会社が負担する交通費は自宅から会社までなので、自宅から遠く離れた保育園まで、そして保育園から会社までの交通費は自分で負担しなくてはいけなくなる。それもほとんど毎日だから、なかなかの出費になりますよね。そこで、弊社では保育園から会社までの交通費も会社に申請していいことにしています。

あと、会社の都合で残業などをしてしまった場合には、保育園の延長料金がかかりますよね。それも会社で負担しています。

──手厚い……! 経済的な負担に関する不安がなくなることは、子育て世代にとってはとてもありがたいことですね。

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勤務中の保育に関する料金補助で、社員の負担を軽減している

業務のスリム化で残業時間の削減に成功!

──休暇や残業時間については、何か対策を取っていますか?

休暇については、子供が病気になった時のために、有休とは別に5日間お休みをとれる体制にしています。また、育児をしているスタッフ以外にも、ご高齢の家族がいる場合などに、介護休暇として積極的に取得できるようにしていますよ。

あとは、今年の4月から有休休暇の年間5日間の取得が義務化されましたよね。それに伴って、みんなが気兼ねなく休暇をとれるように、有休の消化しやすい期間を年間スケジュールで設けました。

残業時間については、リフォーム業は労働時間が長いとよく言われるんですよね。弊社でも、やはりそこを解消していきたくて、昨年1年間で「無駄な業務は一切やらない!」という目標で、全ての業務を見直しました。もちろん、業務量や就業時間を減らしたからといって、給料も減らしていいかというと、そうはいかない。それなら、「余計なこと=お金を稼げないこと」をどんどん削除していこうという流れになりました。

弊社の社員の多くは営業を担当していますが、会社にいると、それに付随した他の仕事を回されることもありますよね。でも、それらも全部排除して、とにかく自分たちがやらなければならないことだけに集中するという”業務のスリム化”を実践しました。その結果、全体的に本当に早く帰れるようになったし、業務にも支障は出ていませんね。

──"業務のスリム化"をしようと思った具体的なきっかけはありましたか?

そうですね。働き方改革の促進ももちろんですが、やはり今の若い人たちは仕事だけではなく、自分の生活もとても大事にする価値観を持っている人が多いなと感じています。そうすると、そこに対応できなければ、会社としても優秀な人材を確保していくことができない。

残業が多い会社だったり、土日もいつも出勤だったりとなると、勤務条件としてよくないですよね。そうすると、女性もしかり、男性もしかり、なかなか入社してもらえなくなってしまう。そうならないように、みんなで環境を変えることが大切だと感じたことがきっかけですね。

また、結婚や育児、ご両親の介護など、働き方に変化が必要になる層って、会社にとってもエース級の存在が多いんですよね。だから、会社の制度や働き方の問題で彼らが働けなくなるというのは避けたいところです。そこは会社でも、できるだけ力になりたいと思っていますね。

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